活動内容

ラグビーの「痛さ」で、年中児に育つ感覚

ラグビーの「痛さ」で、年中児に育つ感覚

「今日からラグビーをするよ」朝の会でそう声をかけると、「よっしゃー」とやる気満々。「何? それ……」といった表情の仲間たちに、先生が「ボールを横にパスするの」「ぶつかっていくの」と一生懸命説明をするのですが、聞けば聞くほどわからなくなっていく子どもたちでした。
さて、年中児クラスもいよいよ3学期を迎えた2月。幼稚園では「ラグビー」のカリキュラムが始まる。「幼稚園児にラグビー?」と思われる方もいるかもしれないが、開始から1週間もすれば、ルールを理解し、体ごとぶつかりあいながら、仲間とともに「勝つための作戦」を考える子どもたちの姿がある。では、このカリキュラムに秘められた教育意図とは何なのか? 2回にわたって詳細をお伝えしていこう。

体が柔軟な時期だからこそ学べることがある
幼稚園には教育実践上の柱として「体ごと遊ぶ」という方針がある。「ラグビー」のハードさは説明には及ばないが、普段から体を存分に動かす幼稚園においても「体ごと遊ぶ」の最たるものだろう。
ラグビーをカリキュラムに取り入れているのには、もちろん理由がある。チーム一丸となって同じボールを追いかけ勝利を目指すラグビーは、幼稚園が重視する「人と心を通い合わせる」ことを経験するには格好の素材である。1つの目標に向かって行動を共にすることで仲間との絆を深めていくことができる。
ボールを奪われたり、敵から攻撃を受けたり、体ごとぶつかりあったりと、痛い思いもたくさんするラグビー。子どもたちは悔しさから泣き出すこともあるが、それを乗り越えることも大きな目標である。また、オフェンス(攻撃)とディフェンス(守備)がめまぐるしく入れ替わり、時にはボールを奪われた悔しさや痛さを感じながらも、瞬時に攻撃に転じていかなくてはならないラグビーは、「気持ちの切り替え」を体で学んでいくにも適している。

「仲間との関係が深まってきたこの時期、体ごとぶつかりあう遊びを経験させたいという思いから、ラグビーに取り組んでいきます。楽しい思いだけでなく、引っ張られる苦しさや、ぶつかり合う痛さも遊びの中のひとつとして受け入れられるようになるといいなと思います」

この自分が痛みを感じる経験は、相手の痛い思いを知ることにもつながる。さらにこれが「力の加減を知る」ことにもつながっていく。チームで勝利を目指したり、攻撃と守備を切り替えたりするだけであればテレビゲームでも体験できるだろうが、体で痛みをリアルに感じるラグビーだからこそ、この感覚は育っていくのである。
もちろん、安全面が気になる方もいらっしゃるだろう。しかし、この時期の子どもたちの体は柔軟だ。つまり、思い切りぶつかったり転んだりしたとしても、子どもの「しなやかさ」はそれに十分対処することが可能である。大人と比べて、大怪我をする確率は「ラグビー」という言葉から想像するほど高くはないのである。

「手を使う」「いっぱい歩く」という方針のもと、「いも掘り」「鬼ごっこ」「なわとび」の他にも、恵まれた自然環境の中での遊びを通じて、子どもたちの体はすくすくと成長し、体力もついてきている。誤解のないよう付け加えるが、再三指摘してきたように幼稚園での「体力づくり」は「心を育てた結果」であり、「怯まない」「あきらめない」「素早く気持ちを切り替える」という強い心とセットで育まれてきた体力である。この心と体があれば、十分「ラグビー」に対応できるとの判断があり、そこから得られる教育効果は、怪我のリスク以上に大きいと考えているのである。
なお、子どもの遊びに擦り傷、切り傷、ねんざなどは当たり前だ。最近ではこの当たり前だったはずのことが当たり前ではなくなってきているようだ。過保護なのか、責任を問われるのを恐れてか、体を激しく使う遊びは全般的に避けられる傾向にあるという。しかし、入園説明会時に「思い切り体を使って遊んだ結果、怪我をすることくらいは覚悟してください」という園長の方針に納得している親たちだから、クレームが出ることもない。それどころか、親同士が戦うラグビーも行われることがこの幼稚園のユニークなところである。

ラグビーはケンカじゃないよ!

ラグビーはケンカじゃないよ!

ではラグビーの取り組みは、具体的にどのように進んでいくのかを見ていこう。
冒頭のエピソードにあるように、まずは全員でルールを共有することからスタートする。ちなみに、ルールは幼稚園用にアレンジされており、その内容は、

・「ボールをゴール(マット)につけたら1点」
・「ボールを抱えてしゃがみこんでしまったら、『先生ボール』となって試合は中断。
先生が再度ボールをグランドに投げ入れて試合再開」(これは安全性を確保するためのルール)

というシンプルなもの。そして初日から試合が始まるのである。

8人ずつの4グループに分かれ、先生から「5点取ったチームが勝ち」と伝えられた後、「さあ、始めるよ!そぉーれ!」という掛け声とともに楕円形のラグビーボールが先生の手によってグランド中央に投げ入れられる。すると、そのボールをめがけて「我先に」と突進していく子どもたち。そして相手からボールを奪い取ろうとする。もちろん、最初はケンカに近い状態が生まれることになる。再び学級通信を見てみよう。

1回目なだけに対決中はさまざまな姿があります。ボールを取りに行こうと相手チームの子どもに体当たりをした子ども。ボールを持っていた子どもはその拍子に転び、ボールが転がっていってしまいました。
――すると……
「なんでぶつかってくるんだよっ! 痛いじゃないか!!」 バシッ!!
「なんで叩くんだよ!」 バシッ!!とボールのないところで叩き合いに。
なので一旦対決を止めて、「ラグビーはケンカじゃないよ。ぶつかったりしながら相手からボールを取っていくのがラグビーなんだよ」と話し、再開したのでした。

激しいタックル(?)にボールを落とし、その悔しさから別の戦いが始まってしまったとき、先生は試合を止めて「これはゲームであって、ゲームとはこういうもの」ということを教えていく。そして別のところでは、また別の戦いが勃発する。まだまだ子どもたちは仲間にパスをするなど協力するプレーではなく、ボールを持ったら1人でゴールを目指すため、あっという間に相手に取り囲まれて、ボールの所に全員が群がってしまい“だんご状態”です。
そのだんごの中から、異様な声が聞こえてきました。
「ちょっと! 痛いってば! 私は仲間だから踏まないで!」
“……? 痛い? 踏む……?”

よーく見てみると、ボールを持っていた子ども、「あっち行け! あっち行け!」と言いながら自分のまわりにある足すべてを踏ん付けていたのです。一方では、だんご状態の中には自分から入れないけれども“どうにかしなきゃ”と思った子どもは、ボールに手を伸ばす子全員のお尻をパシパシ叩き……、「痛いなぁ! 叩くのダメ!」と相手が怒って振り返ったときに、「今のうちだ! 行け!」と――。

子どもたちは、子どもたちなりにいろいろ考えているんだろうなぁと笑いをこらえつつも、「踏んだり叩いたりするのはなしね」と共有のルールにしたのでした。対決していく中で実際に起きた問題点を取り上げながら取り組んでいこうと思っています。

このような過程を経て、「体を張ったボールの奪い合い」が少しずつゲームとしてのラグビーに近づいていく。この時点ではまだ仲間と協力して戦うという意識はなく、仲間同士でボールの奪い合いになることもしばしばだ。だが、先生たちは後に子どもたちが声を掛け合ったり、パスを回したりする姿を思い浮かべながら、「どのように指導していけばいいのか」に意識を集中してこの様子を見守る。

すると翌日、「先生! 今日もラグビーやるよね!」 「いい作戦考えてきた!」
と朝からやる気満々の子どもたち。その日の戦いぶりを再び学級通信から見てみよう。

まずは赤対黄グループ。(注:32人のクラスを8人ずつ赤・黄・青・緑の4チームに分けて試合は行われる)
「よぉーい、始め!!」
ボールを投げると1人端の方へ走っていく子が……。女の子です。仲間たちがだんご状態になっても助けに行かず、声だけの参加です。「ほらっ! 力を入れて!」「ちょっと、ボーッとしないの!!」――と。
内心、“なんでこの女の子はボールの所へ行かないんだろう……”と不思議に思っていたのですが、とりあえず様子を見ようとその対決中は何も言いませんでした。事実、5対6の対決になるので結果は黄色グループの勝ち。整列をしてからほかの仲間の元へ戻るとき、ある子どもの肩が震え「負けて悔しい」と涙声。
そこで、対決中から気になって女の子の動きについて聞いてみると、「あのね、作戦だったの。とりあえず5人が戦って、疲れたりしたら私と交代するって。でもね、いつ疲れたのかわからなかったからさ……。この作戦、今度はちゃんと言葉にして言うようにしてもう1回やってみる!」(あらあら・・・)。
すでに気持ちを切り替えて、次の対決に向かう赤グループの子どもたちでした。

子どもたちは子どもたちなりに作戦を練る。
体をぶつけ合う楽しさを感覚的に感じ取った子どもたちは、今度は「仲間と力を合わせて、どうやったら勝てるのか」ということに意識が移っていく。すると、このエピソードにあるように「軍師」となってチームを勝利させようと考える子どもも出てくる。誰に教わったわけでもないのだろうが、子どもは子どもなりに戦略を練る。
そして、年中児クラスになって「仲間と一緒に行動することとはどういうことか」をさまざまなカリキュラムを通じて学んできた子どもたちは、自分の思いは言葉にして伝えるべきだと考え、それを自然と行動に移していく。ラグビーを通じて、成長の階段をまた一つ登っていることが伝わってくるようだ。

さて、子どもたちはこの後、どのようにして勝利を目指して戦っていくのか。この「白熱の試合」の模様は次回詳細にお伝えしていこう。

ラグビーで生まれる親子の絆

ラグビーで生まれる親子の絆

今日は鳥2組との対戦。朝からやる気満々でした。(注:年中児は鳥1組と鳥2組の2クラス。それぞれが赤・黄・青・緑の8人1グループとなって対戦する)

まずは赤グループからです。「絶対勝ってね!」という仲間たちからの声援を受けつつも、2組が1点、2点、3点と点数を重ねていくにつれ、気持ちが負け始める子どもたち。見ている側は「1人だけじゃ勝てないってば!」「走れ! やる気出しな!」と応援を通り越して少々怒り気味。結果は負け。
そして、続く2回戦目は黄色グループです。相手がボールを持ってマットまで走り出すと、必ず追いかけてなんとか止めようと飛びつく子ども。ほかの仲間たちもボールを取ろうとだんご状態の中に入っていくのですが、子どもたちは口ゲンカ……。「ちゃんとやってよ!」と。見ている1組の仲間たちは、「そんなこと言ってる間にゴールされちゃうってば! ふざけないでよ!」と、身を乗り出して声をふりしぼります。またまた結果は負けです。負けて戻ってきた黄色グループも含め、みんなに「大事なことは、8人の仲間と力を合わせること。そして、最後まで絶対諦めないこと」と声をかけ、3回戦目は青グループを送り出しました。

「絶対諦めない!」という仲間からの力強い言葉。その言葉に奮起し、勝利のために力を合わせて努力していく。

さて、前回に引き続き「ラグビー」の後編をお届けしよう。今までは8人一組になっての「鳥1組内での戦い」だったが、今回は32人が一丸となって「隣のクラス」である鳥2組と戦う。子どもたちのテンションが上がることはいうまでもない。「絶対に勝ちたい!」 そんな気持ちから仲間にも厳しい声が飛ぶ。その声を聞いていると「チームプレーで勝つために果たすべき役割を果たせ」という味方への声援のみだ。どこかの国の国会と違って、敵に向かって本題とは関係ないヤジが飛ぶことはない。

そして、試合は新たな展開へと進んでいく。再び学級通信を見てみよう。

勝つためには諦めない!

するとこのグループ、どんなにおさえつけられても転ばされても、泣きながら立ち上がってボールへと向かいます。相手におさえこまれると、仲間を呼びパスでボールをつなぎ、3点、4点と点を重ねます。2組も負けずと2点、3点……。いい勝負です。
そして最後はだんご状態の中、「諦めない!」と仲間同士言い合いながらボールを取った子どもがゴール。「やったぁ!」と跳びはねる青グループでした。
続いて緑グループ。ある子どもがいつもと違います。ボールだけを見て、取ろう、取ろうとしているのです。「いいぞー! 」仲間たちの応援がさらに力をくれるようです。仲間たちはそれぞれがボールに食らいついていき、ある子どもは、おさえこまれては泣き、仲間の子どもの「諦めないの! 最後まで!」という言葉で立ち上がる――を繰り返します。そんな中子どもたちは、「おさえる相手をはがす」と行動にうつしながら、「今だ! 行け!」と助けるのです。
そして最後、1点取ったほうが勝ちとなると、ものすごいボールの取り合いです。はがし、はがされながらボールをつかんだのはある子ども。しかし服の裾には相手チームが。それに一早く気付いたのは仲間でした。「行け! 行け!」と言いながら相手チームからはがします。そして、助けた仲間のおかげで相手チームを振り切れた子どもが、5点目を入れて勝ったのです。

子どもたちは「勝利ために協力していくこと」を、体ごと学んでいく。

子どもたちは「勝利ために協力していくこと」を、体ごと学んでいく。

この文面からも、子どもたちの白熱ぶりが伝わってくる。(ラグビーに詳しい読者の方もいらっしゃると思うが、幼稚園でのラグビーは心の育成が目的であり、ルールも緩やかに運用しているので、ボールを奪いに行った相手をはがす行為はOKとしている)子どもたちにしてみれば、試合中はまさに「有事」の状態。必死になって冷静さを欠いてしまいそうな状態でありながらも、仲間を励まし、その言葉に奮起し、そして力を合わせて勝利に向けて努力する。こんな経験ができるのも全身がぶつかり合う団体スポーツ・ラグビーならではの良さだろう。
子どもたちの口々から飛び出す「諦めない」の力強い言葉。そして、試合はいよいよクライマックスへ進んでゆく。再び学級通信を見てみよう。

喜ぶ仲間たちの元へ戻って、「協力するっていうのは、こういうことだよね」と言葉にし、その認識は共通のものに。そして、最終戦はグループを崩して先生が8人のメンバーを選びました。
「やりたい! やりたい!」と何人もの子が手をあげます。そこで、「先生は、最後まで諦めない子を選ぶ」と指名していきました。
「諦めないからやりたい!」と言っただけあって目が違いました。途中、鳥2組の先生に「誰かに強い子どもを止めさせて、動けなくなるくらい!」と耳打ちし、鳥2組の2人がおさえこみました。その内の子どもも今までにない頑張りだったそう。それだけに強い子どもは泣き出します。しかし、「気持ちで負けない! 諦めないって自分で決めたんでしょ!」と声をかけると大きくうなずき、それ以降はどんなにおさえられても必死に振り払おうとする姿があったのでした。

結果、4対5で鳥1組の勝ち!
対決が終わった瞬間、「ぼく、諦めなかった。だからみんなで勝てた」と言う子ども。見ていた人たちからも、1人1人の頑張りを認め合う言葉がありました。もうすでに子どもたちはパスを出し合ったり声をかけ合ったりしているだけに、気持ちの面を意識させていきたいと思っています。

このエピソードからわかるように「協力」の言葉の意味をしっかりと実感として身につけていく子どもたち。また、先生の役割にもご注目いただきたい。「失敗を諦めず、悔しさを感じる子を育てる」で紹介したように、幼稚園では「悔しい」という気持ちが成長の原動力と考えている。そこで、担任がわざわざ隣のクラスの先生へある子どもに悔しい思いをさせるため「おさえこみ」を頼むこともある。それは「その子が成長するためには、あえてそのような状況をつくりだし、それを乗り越える経験を積ませる必要がある」との判断からだ。

話は一寸横道にそれるが、このきめ細かさはラグビーに限った話ではなく、すべてのカリキュラムにおいても同様だ。例えば、「なわとび」においては、「いつも仲間の話にツンとした反応をとることが多い子どもにはあえて跳び方を先生が教えない。そして、仲間からアドバイスを受け入れざるを得ない状況をつくりだそう」「この前の木工作で自信をつけてきている子どもは、早く跳べるようにしてあげてさらに自信を深めさせよう」

仲間と協力してラグビーに取り組むことで、互いの心を通い合わせ、成長していく。

仲間と協力してラグビーに取り組むことで、互いの心を通い合わせ、成長していく。

これらはあくまでもケースバイケースの判断だが、その結果、子どもたちが着実に、そしてたくましく育っていく様子を目の当たりにすると、教育とは意図をもった環境と機会の創造であるということを痛感する。特に幼児期においてはその重要性が高いのである。
そして、ラグビーを通じて全身で痛い思いや悔しい思いをした子どもたちは、仲間とともにそれを乗り越え、また一段とたくましく育っていく。

親も一緒に「うりゃー、どけー!」

親も一緒に「うりゃー、どけー!」

さて、子どもたちのドラマはこのあたりにして、最後にラグビーにまつわる親たちの様子も紹介しておこう。

幼稚園の教育実践上の柱に「親も一緒に」という方針がある。その方針にのっとって、学期ごとに行われるお楽しみ会では親も子どもたちと同じカリキュラムを体験することになるが、年中児の3学期には親たちもラグビーに挑戦する。(ルールは子どもたちと同じである)
そのときの様子を、親と先生の間で交わす「れんらくちょう」から見てみよう。

●ラグビー楽しかったー!!
お楽しみ会お疲れさまでした! ラグビー、楽しかった―! 子どもたちも参観で観た時よりもさらにラグビーらしくなっていて、点もいっぱい入るし見応えありました。そして親ラグビー、最高でしたね。あれほどみんなでぶつかり合えるのは信頼関係がなければなかなかできませんよね。子どもたちはシラーッとしてましたが……。「お母さん、点入れたよ! 見てた? 」と聞くと「ほーっ、すごい!」って……。「おーい! 見ててよ」って感じです。日ごろ主婦をやっていると、なかなかここまで体を動かせないので本当にいい経験です。

●何でも経験してみるものだなぁ
ラグビー、やって良かったです。何でも経験してみるものだなぁとつくづく感じました。ラグビーボールはどこへいってしまうかわからないこと、取り合いになったときに上からどんどん誰かわからない手が出てきてどのようにパスをしようか悩んだこと、大根のように引き抜かれたこと。短いゲームの間に色々なことを考え、色々な感情が出てきました。子どもたちは良い経験をさせていただいているのだなぁととってもうらやましくなりました。お母さんたちはすごかったけれど、本当に楽しかったです。

●女性とは思えない……
本当に楽しい1日でした。やっとみんな燃焼しきれた感じだと思います。だんご中心部分では、女性とは思えない雄叫びやドスのきいた声がとびかっていたのもかなり笑えましたが母たちの白熱ぶりには見向きもせず、草むしりに興じる子どもたち……。この温度差には大爆笑でした。今回深く納得したのは、下が芝生だと転んでも上から乗られてもへっちゃらだということです。だからどんどん突っ込んでいけるしタックルだってかけられる。この恵まれた環境を本当にありがたいと思いました。

●大人のラグビー、こわい
お天気にも無事恵まれお楽しみ会が終わったのでホッとしました。ラグビー、すごかったですね。あるママの「うりゃー、どけー!」の叫び声がまだ耳に残っています。私もトレーナーが破れてしまうほど張り切ってしまいました。久しぶりに土まみれになって気持ちよかったけど、みなさんはどうだったかしら。鳥1組の最後のお楽しみ会、とってもいい思い出になりました。トレーナー見るたびに思い出しそう……。子どもが一言。「大人のラグビー、こわい……」

「母は強し」といわれるが本当に強い。夢中になって戦うお母さんと、意外と冷めている子どもたちのコントラストがなんとも微笑ましい光景だが、親たちも体ごと遊びに参加する中で教育への理解を深め、自らも学んでいく。そして、子どもたちがさらに成長していった後、この思い出は親子の絆を深める一生の宝物となるのだろう。

さて、本連載では今回が年中児クラスの最終回となる。最初は何をするにも「先生!」「できない…」と涙を浮かべていた4歳児たち。それがたった1年間で“どうすればいいのか”を自分で考え、仲間と力を合わせ、自分たちの力で乗り越えようと育ってきた。この様子をお伝えできたなら幸いである。そしていよいよ次回からは、「誇りある子ども」を育てる仕上げの時期である5歳児(年長児クラス)の教育について紹介していこう。

3歳から心を育てる
理想の幼児教育を実現するためにゼロから建設に乗り出す。様々な困難を乗り越え、「人間が人間らしく、誇りを持って生きていく」ための教育を実践している。